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山田院長のおしっこのお話 第二回

山田院長のおしっこのお話

シリーズ全5回


第二回 『前立腺肥大症と過活動膀胱について』


3月8日水曜日、戸田・蕨医師会のお招きで講演をしました。演題名は「頻尿・尿失禁について」です。内容は、1.過活動膀胱の概要、2.前立腺肥大症と過活動膀胱、3.排尿障害治療薬の使い方、4.治療薬抵抗性の過活動膀胱、5.腹圧性尿失禁、についてでした。
 
これから、5回に分けて、講演内容を皆様方にわかりやすく説明しようと思います。

 第2回は、前立腺肥大症と過活動膀胱について説明いたします。
 前立腺肥大症の症状には、尿が出にくい排尿症状と尿がためられない蓄尿症状があります。前立腺が肥大すると膀胱の出口を圧迫刺激するため、膀胱はたまった尿を無意識のうちに排出しようとします。この変化は排尿を維持しようとする、ヒトの持った自然の働きによります。前立腺による膀胱出口の閉塞によって膀胱が過活動状態なり、症状が出現するのです。これは、前立腺肥大症の初期から生じるため、頻尿(尿が近い)・尿意切迫感(尿が我慢できない)として早期から発症し、つらい症状です。これらの症状は、「国際前立腺症状スコア(IPSS)」という問診票で評価します。前立腺による膀胱出口の尿道の圧迫を解除すると膀胱が尿を出そうとする負荷(労力)が少なくなるので、膀胱の過活動状態は多くの場合改善します。圧迫を解除し、尿道を緩める薬は多数使用可能です。改善の程度は、症状の改善度と尿流測定装置による尿流の改善によって判定できます。
 それでは次に、これらの薬だけでは症状が改善しない二つの場合について説明いたします。一つは、前立腺の大きさが30g以上になっている場合です。前立腺の大きさは、エコー検査で前立腺の縦横高さの3方向の長さを測定することによって計測できます。大きさが30g以上の場合は、前立腺を肥大させる男性ホルモンの働きを前立腺の中だけでブロックする薬で縮小を目指します。この薬そのものはホルモン剤ではなく、全身の男性ホルモンの状況に影響しません。この薬によって前立腺を少しでも縮小できれば、将来尿が出なくなり手術が必要になる事態を避けられることが、米国の大規模試験で示されています。
 もう一つは、膀胱出口の閉塞を解除しても蓄尿症状が改善しない場合です。こうした事例では、閉塞だけでなく加齢による膀胱独自の変化によって過活動膀胱が生じています。この場合には過活動膀胱の治療薬を追加する必要があります。膀胱を弛緩させる作用を持つ薬は、抗アレルギー薬、向精神薬、胃腸薬、呼吸器治療薬、市販のかぜぐすりなど数多くの薬があります。ここで、注意しなければならないことは、過活動膀胱の治療薬は膀胱を弛緩させて治療効果を発揮させるため、排尿の力が減弱することです。効きすぎると残尿が増え、最終的には尿が全くでなくなる尿閉という大変な状態になります。
 なかなか改善しない尿の症状の治療は的確な診断のもとに、薬の使用法をきめ細やかに決めていく必要がありますので、専門医にご相談ください。

 次回は、排尿障害治療薬の使い方についてお話いたします。


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