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山田院長のおしっこのお話 第三回-3

山田院長のおしっこのお話

シリーズ全5回

    
  第三回 『治りにくい・治しにくい排尿の問題 夜間頻尿について』
治療困難な夜間頻尿は、膀胱の過活動ばかりでなく夜間多尿や睡眠障害など複数の要因が絡み合って生じる治療の難しい病態です。
  第三回-Ⅲは夜間頻尿の診断法や実際の治療法についてお話いたします。
 夜間多尿の存在は排尿日誌を記載していただき、排尿時間と一回排尿量から昼間排尿量や排尿回数、夜間排尿量や排尿回数を調べて診断します。夜間多尿による夜間頻尿は治療が困難です。膀胱機能が正常で、一回にためられる尿量が200mlあったとしても夜間尿量が700mlでは、少なくとも3回の夜間排尿回数となります。
  一般にヒトは眠りについてから3時間以内に深い睡眠に入るといわれていますので、最初の排尿に起きるまで3時間あれば熟睡感が得られます。したがって、治療の目標は最初の3時間までに睡眠が中断しないようにすることとなります。まず、夜間尿量全体を減らすために、午後の運動を勧め体にたまった水分を減らすようにします。利尿剤を使用して水分を日中に排出させる方法も有効といわれています。夕方から水分摂取を制限することも有効ですが、高齢者では脱水となる危険があり、問題です。少なくとも余分な水分を取らないようにお話しします。夜間に抗利尿ホルモンを補充し、夜間の尿産生を減らす方法もありますが、体に水分や塩分がたまりすぎて循環状態を悪化させる危険があります。日中に余分にたまった水分や塩分を排出するための夜間多尿は体の持つ自然調整機能とも考えられるからです。膀胱の過活動や膀胱組織が硬く変性して膀胱容量が減少している場合は、過活動膀胱の治療薬や膀胱の知覚過敏を抑える治療薬が有効です。少しでも尿意を催す刺激を抑え、最初の3時間熟睡できれば睡眠の質は劇的によくなります。あとはうつらうつらと浅い睡眠で排尿に数回起きてもまた眠れる状態であれば睡眠の質は向上します。
   最後に睡眠障害の問題が残りますが、なかなか難しい問題です。睡眠時無呼吸症候群は、早期に診断して治療が必要です。治療で睡眠の状態ばかりでなく循環器に対するリスクも解決できます。睡眠薬は夜間の精神活動を抑えるため、ふらつきによる転倒などのリスクが問題になります。夜間頻尿そのものが転倒のリスクを増加させることがわかっていますので、睡眠薬により頻尿を抑えることは転倒のリスクを減らす上で重要ですが、治療薬が転倒のリスクを高めるとなると本末転倒です。最近は、睡眠のリズムを整える薬や、脳の活動を抑えるのではなく起きていようとする目覚めの働きを抑える新しい睡眠薬が開発されています。依存性もないため夜間頻尿の治療には効果的かもしれません。


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