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山田院長のおしっこのお話 第一回

山田院長のおしっこのお話

シリーズ全4


第一回 『過活動膀胱の概要について』


3月8日水曜日、戸田・蕨医師会のお招きで講演をしました。演題名は「頻尿・尿失禁について」です。内容は、1.過活動膀胱の概要、2.前立腺肥大症と過活動膀胱、3.治りにくい・治しにくい排尿の問題、4.腹圧性尿失禁、についてでした。
 
これから、4回に分けて、講演内容を皆様方にわかりやすく説明しようと思います。

初回は、過活動膀胱について説明いたします。
 過活動膀胱(OAB:overactive bladder)は女性に多い病気で、2002年に国際尿禁制学会によって提唱されました。尿意切迫感(トイレが近い、トイレまでがまんするのが大変という症状)に、通常は頻尿および夜間頻尿を伴い、時には切迫性尿失禁(突然がまんできないような尿意を感じ、トイレに間に合わずもらしてしまうという症状。これを、UUI:urge urinary incontinenceといいます)も伴います。全国調査によると810万人が過活動膀胱を有すると推計されています。過活動膀胱と類似の症状を示す病気に、膀胱がんや結石、様々なタイプの炎症があります。過活動膀胱と診断するためには、これらの病気を下記の検査や診断で、除外する必要があります。
 膀胱がんや結石、炎症などを除外するために、最初に膀胱エコー検査と尿検査を行います。尿潜血がある場合は膀胱がんを疑って尿細胞診検査を追加します。膿尿(尿中に白血球が多い場合)、細菌尿では、尿培養検査を行います。腎エコー検査で、膀胱より上流の尿路の拡張が無いことを確認することも重要です。尿路の拡張がある場合には、膀胱の収縮力の低下(過活動膀胱とは逆の状態)や尿道の圧迫・狭窄によって残尿が増加していることがあります。治療法が全く異なってくるので注意が必要です。
 過活動膀胱は、正しい診断のもとに適切な治療薬を服用すれば、不快な症状がなくなり快適な生活が送れます。しかし、正しい診断を受けずに漫然と薬を内服した場合には、症状が軽快しないばかりか、良くなっても思わぬ病気を見落とすことがあります。

 次回は、前立腺肥大症と過活動膀胱についてお話いたします。


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